カルマ

最近のマネキンは首がないらしい。
どうやら、自分が着ている姿を想像しやすいように、余計な情報をカットするためなんだって。
あんまり洋服屋さんには行かないけど、そういえばそうだなあなんて思って記憶の向こうに消えかけた情報だったんだけどね。

今日、商店街を歩いていたら「昭和何年創業だろう?」っていうお店がありまして、看板を見ると『フランス洋品店』だったかな?
洋品店じゃなかなったかな?
まあ、そんなお店。
お店の外の壁には
『グンゼ一割引』
『ハダギ特価』
と筆だかマジックだかで書いてある半紙を貼り出してあった。

ヒョイとお店の中を覗くと、乱雑に商品が積み上げられ、他のお店には到底及ばない照明の明るさ。
間接照明とかいうおしゃれなものではないよ。
蛍光灯がチカチカとフィルムのように点滅しているような、そんな明るさだよ。
何を隠そう俺はこういうお店が大好きで、こういうお店があると、怖い人が出てきそうな雰囲気がなければ冷やかしに入ることを趣味としている。
今日も
「どれどれ」
とか思いながら、好奇心に身を任せて一歩踏み出したとき
店の中から棒を持ったおばあさんが出てきて、ワッと一瞬にしてパニックに。
「誰?」「なんの棒?」「なんで?」
別段なんでもないことなんだけど、突然の出来事に頭の中が整理しきれず、次の一歩を踏みとどまり、当初の目的である駅に向かおうとしておばあさんから目を離す、その刹那。
おばあさんの肩越しにマネキンがひとつ。
そのマネキンに目が奪われた。

少しうつむいた女性のマネキンは、昔からあるものらしく、顔がしっかり付いていた。
その顔や首のあたりが、煙突から到着したかのようになぜか黒く汚れていて、その目は万引きが見つかった主婦のように寂しく、手は不自然に自然を装うようにくの字に曲げられて、そこに立っていた。
彼女はこちらを見ようともせずに、ただ一点を見つめているだけ。
一秒にも満たない時間、俺はそのマネキンに心を奪われてしまったのだ!
ちょうど安部公房の『壁』を読んだばかりだから、ちょいとシュールレアリズム。
いい意味でも、悪い意味でも。

駅へと向かう道で、心臓のあたりがズキンと一度痛み、そして改札でピッとするころには思い出になった。
今度、その写真撮ってくるから、乞うご期待ですぞ!
切なくなるぜ?
しかし、すごい雨だなあ。

さあ。
10月のライブはオンリーワン!

10月10日(土)
新宿スモーキンブギ
開演 19時
料金 2500円(ドリンク付き!)
アクセス
http://s.freepe.com/std.cgi?id=smokinboogie&pn=02
出番は20時半くらいからです。

数十分だけ悲しみを吹き飛ばしますよ!
お待ちしておりまっす!