梯子

神様の粋な計らいで
足跡に波は届かない
ただよう白いビニールみたいに
僕らもただよう
太陽の光を削った
かたくなな雲のにらめっこ
大事な話なんかしない
僕らはたゆたう
退屈だった僕と君
砂のソファーに腰掛けた
足跡の先っぽで
夏が終わったユーモアと
他人面した海の色
ふたつの靴 並んだ
僕らの退屈は甘いジュースの味だった
カナリアの形は壊れて
新しく魚が生まれた
しびれ切らした雲がくれた
梯子のまぼろし
つかんで つかんでなかった
さわって さわってなかった
つかんで つかんでなかった
さわって さわってなかった
退屈だった僕と君
梯子を指でなぞってた
片っぽの目をつぶって
湿った風のアイデアと
くらげみたいな水平線
夕暮れから逃げた
僕らの退屈は足跡をまたふたつ作った