WORDS
ひとりふたり

等間隔に並ぶうつむいた街灯は
白い光の中に言葉を隠している
僕の影はふたつになりひとつが消える
つまりそういうことなのでしょう

嘘をついている僕の目を見て
全部分かってると君は笑っていた
思えば僕は嘘について幸せについて
なにひとつわかってなかったのでしょう

倒置法でもなく 帰納法でもなく
本当のことが言えなかっただけなのです

僕は狂った夜を歩いた
風の絶え間に音が消えた ひとりだった
吐き出しそうな空を見ていた
雲の切れ目に月が見えた ふたりだった

遠くの方に見えるふてくされた信号は
人も車もない道路で噂をする
赤い目はついに僕のことを一瞥もせず
とうにばれていたのでしょう

ボールペンの先のような小さい心を
それで十分だと君はうなづいた
考えてみれば甘えるだけ傷つけるだけ
言わば僕は駄目なのでしょう

クライマックスもなく エンドロールもなく
大切なことをごまかしてしまったのです

僕は濁った朝を歩いた
風の絶え間に音が見えた ふたりだった
影をなくした空を見ていた
雲の切れ目に月が消えた ひとりだった

ふたりだった ひとりだった