海賊

俺の右半身が少しずつ壊れていくよ。
今日、何の瞬間だったろうか?忘れちゃったけど、ドドドドドと後悔の念というか後ろめたさが込み上げてきた。
映像とともに込み上げる念は、振り払っても振り払ってもヒラリと身をかわして元の位置に鎮座する。
その映像は、小学校のころの放課後。
誰もいない教室に友達と忍び込み、肝油ドロップをビニール袋いっぱい拝借したこと。
一日一個と決められている肝油を思う存分食べたいという俺と友達の強い希望が今ランドセルの中にあるという興奮で、早足で学校を後にした帰り道の光景だった。
学校から随分離れたところで、二人はランドセルからお宝を取り出し、夢の『思う存分肝油ドロップ』を達成する。
どんな効果や栄養があって、給食のときに一粒ずつ食べるのか知らないが、一か月分の肝油を談笑の中食べた二人は、時を同じくして頭痛が始まるのであった。
肝油のせいなのか、天罰か。あるいは別の何かか。
僕らはまだ肝油が十分残っているお宝袋をその場に置き、急いで家に帰ったのであったんよ。