夢を見た
またしてもアレな夢を見た。
西村知美がつけているという夢日記よろしく、記しておこうじゃないか。
舞台は、たぶん現在。
カルト教団の教祖が東京を粉々にするために、ある場所になんとか爆弾っていうのを仕掛けた。
何万人も集めた集会の舞台で、そのことを発表している。
信者でもない俺が、その集会に出席できたのは、たぶん夢のせいだろう。
教祖の話が終わり、誰もいなくなったステージの後ろの壁が、左右に開き始めた。
その様子をボーっと見ていると、割れた壁から見える屋外の、その100メートル向こう側で火柱があがった。
「え?」と思ったのもつかの間、その数秒後に今度は90メートル向こうで爆発がおこる。
その火柱は10メートルくらいを一歩にして、その一歩の時間の間隔を徐々に狭めて襲いかかってくる。
ちょうど端の列にいた俺は、横にある木の引き戸をシュワっと開けて、転がるように外に出た。
それと同時に、今までいた引き戸のあちら側で爆発の音が聞こえる。
「なんてことだ!これであの教団の企みを知るものは俺ひとりになったじゃないか!ええい、ままよ!」
的なことを言って、俺は脱兎のごとく走り出した。
喫茶店に入った。
そこで、ランチを楽しむ友達を発見。
周りに教団のやつらがいるかもしれないので、細心の注意をはらって友達を東京から離れさせなければならない。
東京にとどまるようならば、難癖をつけて遠くに行かせようと思い
「お。これからどこいくの?」
と普段通りを装い予定を聞いた。
そしたらこのあとは鎌倉に行くとのこと。
「あ、そう。」
ってな具合に、なにもせずに解決。
急がねば。
爆発の時間は刻一刻と近づいている。
あの公園のほこらに設置してあるという情報をどこかから手に入れた俺は、公園へと向かった。
その途中、とても大切な人が何食わぬ顔で歩いている。
俺は呼び止めてなんでもない話をし、最後に
「もう会えないかもしれないけど、元気でな。」
と言ってその人をギュッと抱きしめた。
公園のほこらに着くと、見慣れない機械が置いてある。
青く光る機械の液晶には、不可解な図形がいくつか映し出されている。
きっとこれが爆弾だろう。そして、この図形はクイズだ。
ビビッときた。
このクイズは4問あって、全問正解すると爆弾の時限装置が止まる。
そして、1問でも間違えると、その場で爆発してしまうんだ。
ビビッとここまでわかってしまうのは、夢のせいに違いない。
液晶の下についている矢印のボタンで全部のクイズを確認できた。
ひとつひとつじっくりと見た。
全てのクイズが、わからない。
俺はあきらめて帰ることにした。
最寄の駅を降りて坂道を上っていると、スクーターに乗った死んだはずの友達と会った。
何も話さない彼は、俺に一枚の紙を手渡して走り去っていく。
手渡された紙には、さっきの問題が書かれている!
そしてその問題の下に、答えも書かれている!
「なんと!」
俺は、その紙をじっと見つめて考えた。
「もう家の近くまで来ちゃったしな。」
家に着き、テレビをつけると、東京の様子が映し出されていた。
横になってその様子をリモコンをカチャカチャしながら見ているとき、玄関のドアが開く音がした。
入ってきたのは、先ほど道で会ってギュッと抱きしめた人だ。
「ただいま。」
というその人に、俺は「おかえり。」を言う。
そろそろ爆発の時間になる。
声に出さずにカウントダウンをして、ゼロになったときにテレビが切り替わり、先のカルト教団の教祖が映し出された。
教祖は何かを言っていたが、どうやら爆発はしなかったようだった。
めでたしめでたし。
結局俺はなにもしていない。