マトリョーシカ
マトリョーシカは5人兄弟。
一番大きい一番上の兄は表情をつかさどる顔を担当する。
二番目の兄は身振り手振りのジェスチャアをつかさどる身体を担当する。
三番目は話す言葉をつかさどる声を担当。
四番目は感情をつかさどる心を担当。
五番目は嘘や見栄をつかさどる欲を担当している。
外から見えるのは、大体真ん中のマトリョーシカくらいまで。
きかんぼうの末っ子は、一日の半分くらい四番目の中でスヤスヤ眠っているんです。
かわいがられて育った末っ子が目を覚まし、ワーワーと何かごねだすと、兄たちはこぞってご機嫌をうかがい、そして末っ子の言う通りにしてあげちゃう。
ひとつ上の四番目のマトリョーシカだけは、年が近いということもあって、そんな末っ子や兄たちを疎ましく思っています。
それでも周りの兄弟に流されてしまって、見て見ぬふりをしちゃうんです。
ある日、ゴミ捨て場に捨てられていたマトリョーシカを、通りすがりの女の子が拾いました。
そして、女の子とマトリョーシカは、たくさん遊んで、友達になりました。
マトリョーシカ兄弟は、面白い顔をして、面白いジェスチャアをして、面白い話をして、もっと
いいや。
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