男と女の男
先程の電車で、『あしたのジョー』の最終巻を読んでいた。
俺がね。
で、途中の駅で、イヤホンをかたっぽずつ分け合ったカップルが乗ってきて、隣に座りました。
ジョーとホセの死闘が俺の手の中にあり、14Rに見せるジョーの瞳に震えていると、隣のカップルの車内に響きわたる声が気になりだした。
男は、肉付きがよくポッチャリとした頬で、髪の毛を脱色し、チャラチャラとアクセサリーを着けていた。
女の横顔は、まつげがひじきのように黒々と、人間ばなれした量を蓄えていた。
ほっそりとしていたが、男と同じようなセンスのファッションで身を繕っている。
男「あと3日で死ぬとしたら、どうする?」
女「えー。まず一日目に家族や大切な人に報告して・・・」
男「え。その大切な人って俺も入ってる?」
自分で、彼女の死を仮定しておきながら、大切な人に立候補する男。
本当にどうでもいい。
そのあとも男は、自分の恋愛論や女の子の点数減点システムを車内いっぱいにとどろかせていた。