マサオ、まちぼうけ

昨日は午前二時に布団に入りまして。
蛍光灯のタイマーを30分にセットして、本を読むことにした。
一度読んだことのある本を選んだので、先の内容が気になることはない。
自然と文字が頭を通りすぎて、まだ蛍光灯が明るいうちに眠りへと堕ちてゆくだろうとたかをくくっていた。
俺は一度読んだ本だとしても、斜め読みをすることができない。
一行一行、句読点で少し間を空けながら、ページをめくっていく。
そして、誰それがあれこれと言ったところで、スッと夜に放り出されてしまった。
時間内に眠れると思っていたのに、と真っ暗になった寝床で不服を漏らしながら本を枕元に投げた。
眠らなくてはならない。
なんせ明日は朝から芝刈りに行かなくてはならないのだ。
目をつぶればいつの間にか眠ってるだろう、と思って、留守番電話のランプやモデムの点滅なんかを見ないようにした。
その間、新しい曲の構想や歌詞について、最近できた曲のアレンジなんかを考えることにする。
とか言って。
鼻歌を頭の中で鳴らすだけだけど。
しかし全然眠くならなかった。
鼻歌担当の彼も疲れてしまったようで、いいかげんなリフレインをただフフンフンとするだけになってしまった。
で、今何時なのかって、トイレに行くという理由をつけて布団から出て時計を見た。
四時半!!!
起きていたのか、本当は眠っていたのか。
鼻歌だけで二時間も時間を費やして、頭はまだキンキンに冴えている。
トイレから戻って、今度は意味を持たせない映像を思い浮かべ、それがレム睡眠に誘うんじゃないかと、目をつぶった。
その映像の流れるがままに身を任せていると、飛行機の脱出滑り台みたいなのの端をヘリコプターで山の上に持っていって、ふもとの出口までボールを転がすという展開になっていた。
ボールは直径1メートルほどの大きさで、それをスタート地点から転がす役目の白髪のポーランド人が、スタート前にボールから手を離してしまって、ボールは滑り台を転がり始める。
慌てて追いかけたポーランド人が滑り台でボールと一緒にふもとまで転がっていく。
そんな物語がいつの間にか繰り広げられて、俺は吹き出してしまった。
あれはたぶん眠っていたんじゃないか。
せっかく夢特有の支離滅裂な展開だったのに、自分の吹き出した声で起きてしまった。
それからまた寝返りを打ちながら、五時過ぎまで起きていまして。
芝刈りはやめにしました。