俺には弟がいる。
年は三つ離れていて、要は中1の弟に高1の俺だ。

赤裸々に話すと、家の居間から洗面所に入り、つきあたりがトイレ、その横がお風呂です。
トイレとお風呂は小さな小窓でつながっているけど、家族の良心で深刻な事件にはならずに平和が保たれていました。

弟がお風呂に入っているときに俺がトイレに入ると、小窓を開けて軽めのコミュニケーションをとったりしていた。

小窓をコツコツ叩いたり、窓越しに話しかけたり。

ある日。
俺は疲れていた。

弟がお風呂に入り、俺がトイレに入る。
いたずら心に火がついて、トイレから出るふりをしてそのままトイレにこもり、小窓の下に隠れることにした。
当然トイレの電気は消すことができない。
お風呂からは電気のついたトイレの小窓が見えている。

そのあとのプランを考えていなかった俺は、どうするべきか考えていた。
そんなタイミングでお風呂から
「お兄ちゃん。なにやってんの。」
と、弟が話しかけてくる。

ここは負けられないと、だんまりをきめる。

「お兄ちゃん。」「わかってるんだよ。」
という弟の誘導尋問に耐えながら、俺はだんまりをきめたのだ。
ゴールが見えないレースを強いられている気分だった。

どれくらい経っただろうか。
10分以上は小窓の下に身を潜めている。
弟も諦めたのか、あるいはいないと確信したのか、話しかけることはしなくなっていた。

緊縛した時間が流れた。

俺は何をしているのか、何をしたいのか。
しきりに自問自答を繰り返し、いっそのことチャッチャラーとドッキリのプラカードを持って弟の驚く顔を見てエンディングを向かえようという決断に至った。

その決断からさらに数分の時間が過ぎた。
お互い何も話さないまま、時間は流れる。

俺は意を決してそっと小窓に手を伸ばした。

ガラッ!!!

弟の名前とともに小窓は勢いよく開かれた。

ほんの一瞬。
弟が浴槽に立ち上がっている姿が見えたかと思うと爆音が俺の耳を襲う。
何が起こったのか分からなくなるほどの水の音。
ザパンと弟が浴槽に座り込んだのだ。

俺の予想を遥かに越える光景に言葉を失っていると、弟が今まで聞いたことのないような声で
「お兄ちゃん・・・」
と言った。

言葉を失っていた俺は、なんとか気を取り直し
「いたのか・・・。」
というのが精一杯だった。

弟の名前を呼んで小窓を開けたのに、「いたのか・・・」はないだろと思いながら小窓を閉め、トイレを出てトイレの電気を消した。

あのとき弟は俺にたいして「鬼、ちゃん」と言っていたのじゃないかと、今でも思うんです。

フィクションです。

さあこれはノンフィクション

6月17日
渋谷HOME
つっちょ祭
スタート18時半
料金は2千5百円(ワンドリンク別)
出演はつっちょ / 中山哲太 / 治田陽 / 奥苑直也 / あじじ
あじじは2番目の19時過ぎあたりから。
チケットの予約は

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ticket@ajijiman.com
まで。

遊びにおいでよ!