WORDS

夏の途中

八月の午後は白い光のかたまり
畳の上で僕はひと眠り

夏の王様は裸のまま高笑い
寝惚け眼の僕はまだ眠い

ひもがほどけた あああ 境界線
ゆめもうつつも 今 いいところ

ぬけがら残した蝉の声がうるさくて
消えたまどろみを探す夏の途中

八月の夜は丸い水滴の中
麦茶を飲んで僕は平泳ぎ

すずがちぎれた あああ 双眼鏡
どこもかしこも 今 いいところ

噂コソコソ虫の声がうるさくて
消えたあくびを探す夏の途中

3月のマーチ

最終電車は行っちゃった
マッハの速度で行っちゃった
ほろ酔いどろ酔い 僕らはどこへ行こう

キツネの目をしたおっさんが
ノッポでクールな駅員に
クダ巻きつば吐き 線路にゲロ吐いた

あんぐり開いた宵の口
どっちに行くのが正解か
さみいしねみいし金なんか持ってねえし

タクシー乗るのはもったいない
もったいないから飲んじゃった
しゃあねえじゃあねえ歩いて帰りましょ

あやぶむなかれ
アンドゥトロワで鼻歌まじり 夜の終わり 旅の始まり
かたじけないね
うなれ右足と左足
こっから家までたのむぜ

3月のマーチ歩け歩け歩けよ
より取り見取りのスピードでほら行けよ
よちよちと歩くこんな夜も好きだよ

国道の上をずれていく
さっきのやる気もくずれてく
すっきりくっきり酔いなんかさめちゃった

どんより昨日がはがれだし
やっぱり始発も走り出し
あれなんてこれなんて言い出すときりないし

夜のまにまに
イーアールサンで荒ぶる呼吸 五里霧中 まだ旅の途中
急がば回れ
いでよ自販機と炭酸水
ギブアップするなんて野暮だぜ

3月のマーチ歩け歩け歩けよ
サボらず腐らず褒められずまあ行けよ
ぼちぼちと歩くこんな朝も好きだよ

揺れる想い体中に感じてるよ

梯子

神様の粋な計らいで
足跡に波は届かない
ただよう白いビニールみたいに
僕らもただよう

太陽の光を削った
かたくなな雲のにらめっこ
大事な話なんかしない
僕らはたゆたう

退屈だった僕と君
砂のソファーに腰掛けた
足跡の先っぽで

夏が終わったユーモアと
くらげみたいな水平線
ふたつの靴 並べて

僕らの退屈は甘いジュースの味だった

カナリアの形は壊れて
新しく魚が生まれた
しびれ切らした雲がくれた
梯子のまぼろし

つかんで つかんでなかった
さわって さわってなかった
つかんで つかんでなかった
さわって さわってなかった

退屈だった僕と君
梯子を指でなぞってた
片っぽの目をつぶって

湿った風のアイデアと
他人面した海の色
夕暮れから逃げた

僕らの退屈は足跡をまたふたつ作った

ユーガタノウミ

夕方の海 散らかった抒情詩
オレンジの波 砂時計

渇いたピアノ 横切った飛行機
君がいないからつまらない

不安定な情景 絡まった土曜日
自販機のフィーバー レモネード

英語のフライヤー 目が合ったオーティス
君がいないのはつまらない

この前からどうかしてると思うんだよ
君のせいで夜もろくに眠れなくなった

日が暮れてもまだ道に迷ったままでいる
つまりはつまらない星が光った帰り道

つかの間の雨 引き摺った三本ライン
陽だまりの跡 流れ星

湿ったフィラメント 散らばったワンツースリー
君がいないからつまらない

たとえるならあのアパートの端の部屋
忘れられたベランダで揺れるTシャツみたいだ

明日晴れたなら少し遠くまで行こう
つまりはつまらない風に頼ったあみだくじ

日が暮れてもまだ道に迷ったままでいる
つまりはつまらない星が光った帰り道

君がいないんじゃしょうがない

とげのある花

かわりばんこであくびをする
僕がカルマで君がアガペー
砂漠に着いたら少し眠ろう
僕らは涙が止まらない

ほこりまみれのパレードがゆく
風が吹くたび砂金が光る
太鼓のリズムで僕は踊り
君はしゃがんで耳をふさぐ

星空が照らす広い野原は
足跡だらけで汚れてる

砂 石 空 雲 風 海 波
遠い遠い昔の約束
白 青 赤 黒 黄色 緑
僕らは友達になれるかな

結んで開いてまた結ぶ
僕がさなぎで君がひかり
朝になれば忘れているでしょう
僕らは涙が止まらない

居留守を使って隠れていた
日時計の針が顔を出す

音 歌 声 未来 糸 影 夢
とても長く優しい矢印
上 右 前 下 後 左
僕らはどこまで歩けるかな

僕らは友達になれたかな

サボテン

空飛ぶ夢をね
最近立て続けに見るんだ
最後はもがいても
飛べなくなってしまうけど

嘘でもいいから
君の声を聞かせてほしい
なんてね 嘘だよ
これでも僕は変わったんだよ

ユラユラ揺れる
窓の外の小さな花
色がにじんで
目を閉じれば 夢の中のようだ

時が経てば少しくらいわかるのかな
深い夜が終わるようになじむのかな
そんなことを考えるよ

離れていくのか
近づいてるのかわからない
大事なところで
臆病になってしまうんだよ

フワフワ浮かぶ
夕焼け空 飛行機雲
描いて消してく
たとえるなら そんな感じでいいや

いつも同じ場所を回るまだら模様
最初からも最後からも迷路になる
そんなことをイメージした

時が経てば少しくらいわかるのかな
深い夜が終わるようになじむのかな
そんなことを考えるよ

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