WORDS

車輪の上II

あくびが止まらなくて涙も枯れた人が
アスファルトの隙間を指で撫でながら言う
「形のない見事な形だろう?」

わかったようで何も知らない
自転車こぐ旅は続く
なんだか嬉しい わっはっはのはー

笛ラジオのテーーマ

笛 笛 笛 笛ラジオ

今日も一日お疲れさんです
笛の合図でまたまた参上
耳を澄ませば聞こえる
甘くて隠微なF分の揺らぎ
押し引き 抜き差し
Fからもっと揺らいでゴー

笛 笛 笛 笛ラジオ

飲んだくれてハメはずして
で、外したハメまたまたハメて
で、呂律の回らない舌先で鳴らす
かえるピョコピョコ笛ラジオ
酩酊 曖昧 記憶 枯らす本能
「はじめまして。あなた誰ですか?」

笛 笛 笛 笛ラジオ

終わりがあるから始まります
始まりがなければ終わりません
楽しいから歌います
いやいや歌うから楽しいのです
~~♪~♪~~~♪~~♪
Z

笛 笛 笛 笛ラジオ

車輪の上

あの日風が吹くから 昼に月が出るから
自転車をこぎだした 長いことこいでいた
旅に出たとかそんな話だよ

空と同じ色した帽子をかぶる人が
紙芝居の仕草で本を破りながら言う
「言葉の無い素敵な言葉だろう?」

見えてるようで何も見てない
僕の影が逆立ちする
なんだか楽しい わっはっはのはー

ロック

誰も歩いていない道の上
どこかで眠る君の寝息
僕が見ていたのは流れ星

昔の人は星をつなぎ
ありもしないドラマを作るという
そんな冗談を信じるかい?

月の形にくり抜いた
夜の穴に指をかけて
君の見てる夢の中へ
少しだけお邪魔しますよ

缶ビールをふたつ空けたら
心に灯りが点るという
そんな冗談を信じてる

夜が擦れてすり減った
東の空にエンドロールを
君の夢が終わる前に
じゃあまたね お邪魔しました

缶ビールがよっつ空いたら
言葉は形を変えるという
そんな冗談を信じてる

笛ラジオのテーマ~reprise~

君と僕がつながる
深夜一時のひめごと
舌っ足らずがちょうどいい
笛ラジオ 笛ラジオ 笛ラジオ

笛ラジオ 笛ラジオ 笛ラジオ

ぼくのおそうしき

「しばらく会わないようにしよう」と言う
自転車の後ろ姿はもう消えた
遠くの方からサイレンが聞こえる
そういえば今日はぼくのおそうしき

階段をひとつ飛ばしで上っていく
一番上に着くまでは振り向かない
確かに思い出は美しくなるらしい
冷たかった手のひらまで覚えてる

見えなくなるまで手を振るつもりかい
悲しくないとかいう嘘をつく
こんな時でも夕陽はきれいなんだな
できそこないの声で咳をする

公園に残る夕方の余韻と
鉄棒にかかった帽子は誰のもの

忘れないように名前を付けておこう
それとなく今日はぼくのおそうしき

見えなくなったら忘れてほしい
あまのじゃくな言葉で嘘をつく
こんな夜でも月はきれいなんだな
できそこないの声で咳をする

咳ひとつ

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